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アメリカ民謡研究会

チャンネル登録者数 7.78万人

4.8万 回視聴 ・ 851いいね ・ 2020/03/02

twitter.com/0Haniwa0

空の隙間に挟んだ栞のことを、私達はすっかり忘れてしまうから。
ふとした風の匂いを、いつまでも愛おしく思うのでしょう。

降っていた雨は止んで、太陽が急にカーテンを刺すものだから、そうなったなら水溜まりを踏みに散歩へ行こう。いつ撮ったのだかもうわからない二人の写真に挨拶をして、靴箱の隅に引きこもったままの卒業証書を、それでも少しは埃を掃ってやってから。
玄関の鍵を百回確認して、水溜まりを踏みに散歩へ行こう。

雨明りの霧は全く金色に光っていて、私なんかは消えてしまいそうだなんて思いました。
「失ったものばかりを朽ち惜しく思う癖に、
 昨日までここに建っていた風景の名前も思い出せないんだ。
 私達はきっと、永遠の外にいる。
だから。空の隙間に栞を挟もう。
 一緒に。
その時のために。」

また降り出した雨の中に、私は笑いながら立っていて、
そんなことを思い出していました。

空の隙間に挟んだ栞のことを、私達はすっかり忘れてしまうから。
ふとした風の記憶を、
いつまでも愛しく思うのです。
ふとしたあの日の匂いを、
いつまでも狂しく思うのです。

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